投稿日:2026年6月4日 | 最終更新日:2026年9月9日
「歯が前より長く見える」「歯の根元がしみる」――歯ぐきの位置が変わったことに気づくと、歯を失うのではと心配になるかもしれません。歯ぐきが下がる状態を「歯肉退縮」と呼びますが、それだけで歯周病の進行や抜歯が決まるわけではありません。
歯ぐきの炎症、歯みがきの力、歯ぐきの厚さ、歯の位置などを確認し、原因と困っている症状に合う対応を考えます。まずは「いつから、どの歯が気になるか」をお聞かせください。
歯ぐきが下がるときに確認する、いくつかの要因
- 歯周病の有無:歯を支える組織に炎症や損傷があるか、出血・歯周ポケット・骨の状態などで確認します。
- 磨き方や歯ブラシの当て方:強くこする習慣がないかを見直します。ただし、磨く力だけで原因を断定することはできません。
- 歯ぐきの厚さや歯の位置:薄い歯ぐき、骨の中での歯の位置、唇と歯ぐきをつなぐ筋のつき方なども確認します。
複数の要因が重なることもあります。「年齢のせいだから仕方がない」「一生懸命磨いた自分が悪い」と決めつけず、これからどう守るかを相談しましょう。
歯並び・歯の位置の問題と、噛む力の問題は同じではありません。歯ぎしりや噛んだときの痛みも診察で伝えてほしい情報ですが、噛み合わせだけを歯肉退縮の原因とする根拠は十分ではありません。噛み合わせを調整すれば歯ぐきが戻る、とも言えません。
参考:ケンブリッジ大学病院「歯ぐきの移植と退縮の要因」(英語)、AAP・EFP国際ワークショップ報告:歯肉退縮・咬合力など(2018年、英語)
しみる・出血する・ぐらつく症状を一緒に確認します
歯の根が露出すると、冷たいものや歯ブラシが触れたときにしみることがあります。ただし、虫歯、ひび、詰め物の問題でも似た症状が出ます。「知覚過敏だろう」と市販品だけで長く様子を見ず、繰り返す場合は歯科医院で原因を確かめてください。
診察では、歯ぐきが下がった範囲や深さ、歯垢・歯石、出血、歯周ポケット、歯の揺れなどを調べます。必要に応じてレントゲンも使い、歯の支えの状態を確認します。
以前の写真や検査結果があれば、変化を知る手がかりになります。強い痛みや大きな腫れ、急なぐらつきがある場合は、通常のWEB予約日を待たず、電話で早めに歯科医院へ相談してください。
参考:米国歯科医師会「しみる歯の原因と治療」(英語)、NIDCR「歯周病の検査」(英語)
治療は「炎症」「しみる症状」「露出した根」を分けて考えます
歯周病があれば、まず歯垢・歯石への対処や毎日の清掃を整え、治療後の変化を確認します。しみる症状には、原因に応じて知覚過敏用の歯みがき剤、歯科医院での薬剤の塗布や歯の表面を保護する処置などを検討します。
露出した根を歯ぐきで覆う「根面被覆」は、歯ぐきの移植などを用いる治療です。見た目、知覚過敏、清掃のしやすさなどの改善を目指せますが、下がった部分の形や周囲の支えの状態によって適応が変わり、完全に覆えるとは限りません。
手術を選ぶ場合には、痛み・腫れ・出血・感染、追加の処置が必要になる可能性なども確認します。期待できること、難しいこと、手術以外の選択肢を聞き、ご自身の困りごとに対して負担に見合うかを相談してください。実際に選べる方法や紹介の必要性は、診察後に確認します。
参考:米国歯周病学会「歯ぐきの移植などの外科処置」(英語)。手術の負担・リスクは上記ケンブリッジ大学病院の説明も参照。
矯正前・矯正中に気になる場合は、歯ぐきも相談を
歯ぐきが下がっているからといって、一律に矯正ができないわけではありません。一方、歯を動かす方向や歯ぐきの厚さなどは、矯正計画で確認したい条件です。歯並びだけでなく、歯ぐきの炎症や骨の状態も踏まえて考えます。
矯正中に歯ぐきの位置が変わったと感じたら、いつから・どの歯かを担当医へ伝えてください。お子さんの矯正でも、歯の動きと歯ぐきの変化を一緒に見てもらいましょう。見た目だけで原因を決めたり、装置を自己判断で調整したりしないことが大切です。
六本松で矯正をご検討中の方は、大人の矯正相談のご案内もご覧ください。歯ぐきについて気になる点を、矯正の相談時にもお伝えいただけます。
歯ぐきを守るケアと、六本松での受診相談
歯ぐきが心配でも、汚れを残したままにするのは避けたいところです。やわらかめの歯ブラシを使い、力をかけすぎずに清掃しましょう。フロスや歯間ブラシは、すき間の大きさに合うものと使い方を歯科医院で確認してください。
受診時には、普段の歯ブラシや歯みがき剤、しみる場面、過去の矯正・歯周病治療について教えてください。ご自身のケアを責めるためではなく、続けやすく歯ぐきに負担の少ない方法を一緒に見つけるためです。
私たちは安心・安全を大切にし、歯を長く使うために必要なことと、その理由を分かりやすくお伝えしたいと考えています。まず状態を確認し、必要な対応や見込める効果、その後に費用・通院の負担も相談しましょう。専門的な相談をご希望の方は、六本松の歯周病専門医相談のご案内をご覧ください。
歯ぐき下がりについて、よくあるご質問
歯みがき剤やマッサージで、下がった歯ぐきは戻りますか?
しみる症状を和らげる歯みがき剤はありますが、失われた歯ぐきを元の高さへ戻す治療とは異なります。強くこすったり押したりせず、原因と必要な処置を確認してください。
歯石を取った後に歯ぐきが下がって見えるのはなぜですか?
炎症による腫れが引いたり、歯石がなくなったりすると、それまで隠れていた歯の根やすき間が見えることがあります。治療前後の検査と見比べ、しみる症状や清掃のしにくさも担当医へ相談しましょう。
歯ぐきが下がっていたら、必ず手術が必要ですか?
一律に手術が必要とは限りません。炎症や進行の有無、しみる症状、清掃や見た目の困りごとを確認し、ケア・経過の確認・処置・手術などの選択肢を検討します。
一本だけ気になり、痛みがなくても相談できますか?
はい。一本だけの変化や見た目の悩みもお伝えください。痛みがないことだけで健康とは判断できませんが、すぐに大がかりな治療が必要と決まるわけでもありません。まず検査で現在の状態を知ることから始めましょう。
参考:日本歯周病学会「歯周病の治療」(歯石除去後の変化など)
この記事は一般的な説明です。個別の原因、治療の適応や方法は、診察と検査で確認します。