投稿日:2021年9月21日 | 最終更新日:2024年7月7日
奥歯を銀歯にしたくない
「奥歯が虫歯になって被せ物が必要だけど奥歯を銀歯にしたくない…」
奥歯の被せ物治療をする際、多くの方が感じることです。
以前は、保険適用で奥歯を治療する場合には、金属の被せ物を選択するしかありませんでした。しかしその後、CAD/CAM冠という白い被せ物の治療が一部保険適用となり、現在はよりその範囲が拡大されています。
費用面においては、自由診療よりも低価格ではありますが、もちろんデメリットもありますので、治療法も含めてしっかりとご説明させていただきます。
当院では、CAD/CAMセラミック治療の中でも特に、金属を全く使用しない「メタルフリー治療」をおすすめしております。
外から見えるところにセラミックを使っていても、内側のフレームや土台のコアに金属があれば「お口の中に金属を使うリスク」を完全に排除することはできません。当院では、CAD/CAMセラミック治療の中でも特に、金属を全く使用しない「メタルフリー治療」をおすすめしております。
保険で奥歯を白い歯にする治療法
コンポジットレジン充填(CR充填)
歯を削った部分に、コンポジットレジン(歯科用プラスチック)を詰める方法です。
コンポジットレジンは白い材料ですので、目立ちにくく仕上がります。金属アレルギーの心配もありません。
一方で、強度の面では他の材料と比べると高くはありません。また、セラミックよりも着色しやすくなります。
CAD/CAM冠(きゃどきゃむかん)
セラミックとレジンを混合したハイブリッドセラミックの被せ物です。CAD/CAMの技術を応用して、ブロックから削り出して作製します。
セラミックとレジンの、ちょうど中間に位置するような性質を持ちます。セラミックほどではありませんが、天然歯に近い白さが再現されます。また、金属アレルギーの心配がない点、適度な摩耗性によって噛み合う歯を傷つけない点も大きな特徴です。
奥歯の白い差し歯(かぶせ物)の保険適用条件について
保険が適用されるのは、前歯から第二小臼歯(前歯から数えて5番目の歯)までのすべての歯、条件(※)付きで第一大臼歯(6番目の歯)と第二大臼歯(7番目の歯)です。
※第一大臼歯、第二大臼歯のCAD/CAM冠の保険適用の条件
- 第二大臼歯の上下左右の4本が揃い、適切に噛み合っている
- 噛む力が適度であり、歯ぎしりがない
- CAD/CAM冠の厚みを十分に確保するための歯の削除(削ること)が可能
なお現場の知恵袋として金属アレルギーの診断を受けている場合には、上記の条件を満たす必要はなくなります。
保険の白い歯のデメリット・注意点
- セラミックや金属と比べると強度が劣ります。
- すり減りやすいため、長期の使用で噛み合わせが少しずつ低下していきます。
- 白い材料ではありますが、セラミックと比べると着色が進むのは早くなります。
- セラミックと比べると、プラークが付着しやすくなります。
白い歯の治療と銀歯の治療との違い
■費用の違い
銀歯は健康保険が適用されるため自己負担額は安く済みます。
一方で、白い歯(セラミックなど)は自費診療となります。
■素材の違い
保険治療の銀歯は、12%金銀パラジウム合金という金属でできています。強度はありますが、唾液や食べ物の酸で金属イオンが少しずつ溶け出していくリスクが指摘されています。
白い歯のセラミック(陶器)なら、経年劣化がほとんどありませんが、過度に力が加わると割れたり欠けたりすることがあるため、注意が必要です。
強く噛みしめることが多い奥歯には、セラミックの裏側にジルコニアやメタルで作ったフレームを使うことで、強度を高くする方法もあります。
■治療方法の違い
自費治療と保険治療では、型取りや噛み合わせを取る時の材料が異なるので、出来上がりの精密さが違います。
また、接着剤も専用のものを使うのが特徴です。
特別な材料を使う白い歯の治療は、時間をかけられるため、高精度な被せ物を製作することができます。
また虫歯になってしまう?二次カリエスの可能性
一度治療した歯が、再び虫歯になること。これを二次カリエス(二次虫歯)といいます。
「補綴物(詰め物や被せ物)」の隙間から細菌が入り込むと、ご自身の残っている歯が虫歯になってしまうのです。
二次カリエスになってしまった場合、補綴物を外して再治療をすることになります。しかし治療を繰り返すと歯の寿命はどんどん縮むことから、大切な歯を守るためには、虫歯治療の精度(型取りや人工物の精度など)を上げることが欠かせません。
奥歯の治療に最適なのはセラミック治療
CAD/CAM冠、コンポジットレジン充填などで奥歯を保険適用で、白い材料で治療ができることをお分かりいただけましたでしょうか。
ただ、やはり審美面、機能面、そしてお口の健康という面でも、セラミックほど優れているわけではありません。これらはあくまで、セラミック治療が難しい場合に行う治療法です。
CAD/CAM冠やコンポジットレジン充填のデメリットをしっかりと解消できるセラミック治療を検討したい方はこちらをご覧ください。
現在、銀歯の奥歯もセラミックに交換できます
すでに使用されている銀歯が気になるという方も、一度ご相談ください。
セラミックの詰め物・被せ物への交換が可能です。
奥歯の銀歯と金属アレルギーについて
「お口の中に金属を使うリスク」として代表的なのが、金属アレルギーです。
皮膚の湿疹、アトピー性皮膚炎、関節痛、不定愁訴、慢性的な疲労などの症状を引き起こします。すでにそういった症状がある方は、お口の中の金属が原因になっている可能性があります。
金属の中でも、金属アレルギーを起こしやすいものと、起こしにくいものがあります。金属アレルギーのリスクが低い金属としては、チタンが有名です。インプラントにも使用されており、長期にわたって低リスクが保たれます。
一方で、特に金属アレルギーのリスクが高いのが「アマルガム」という金属です。欧米では早くから使用が禁止されていますが、日本国内では1970~80年代にかけてごく一般的に奥歯の詰め物として使用されました。お心当たりのある方は、一度歯科医院で調べてもらうことをおすすめします。お口の中を拝見するだけで、アマルガムかどうかはすぐに判断できます。
金銀パラジウム合金など、口腔内に金属を使用する以上は、金属アレルギーのリスクが発生します。皮膚の湿疹、粘膜の異常、頭痛、めまいなどがあり、原因が分からないという場合には、口腔内に使用している金属が原因になっていることがありますので、お早目にご相談ください。歯周病にも悪い材料です。
保険で奥歯の白い歯ができない場合
「保険診療で奥歯に白い被せ物を使いたい」という場合には、CAD/CAM冠を選択することになります。ただし対象となるのは、上下の第1小臼歯、第2小臼歯・第1大臼歯に限られ、また以下の2項目のいずれかの条件を満たす必要があります。
- 金属アレルギーの診断を受けている。
- ①第2大臼歯が4本残存し、しっかり噛み合っている。②噛む力が強すぎず歯ぎしりもない。③被せ物の厚みを確保するための削除(歯を削ること)が可能である。
つまり、これに該当しない場合には、保険診療で奥歯に白い被せ物を使うことはできないということになります。
条件についてご不明の点がございましたら、お気軽にご相談ください。また、金属アレルギーの診断が必要な場合には、提携する医療機関をご紹介します。
矯正治療にも昔は金属のブラケットやワイヤーが使われていましたが、今ではマウスピースで矯正します。
歯のかぶせ物のも昭和時代は金属がよく使われてましたが、令和となりほとんど使われなくなってきまして。
価値観の変化は早いですね。
金属を使わないアレルギーに配慮した歯科医院、スマイルライン歯科矯正歯科六本松